まだまだ寒い日が続いていますね。
でも、もうちょっと あともう少しで暖かくなるはず!です。
春を迎えるとどこの動物病院も忙しくなります。
狂犬病の予防接種,混合ワクチン,フィラリアの予防,ノミ・ダニの予防と、健康なコが集中して来院するからです。
ただ1本注射してもらうだけなんだけど、でも待ち時間が1時間、2時間あたりまえ・・・なんてことになりかねません。
特にゴールデンウィーク前後は集中します。
1ヶ月あるいは2ヶ月くらい早めに動物病院に行っておくと、待ち時間は雲泥の差です。
1回の注射で、1年間、フィラリアを予防できる薬も発売されています。
こういったものもうまく利用されるとよいと思います。
暖かくなってくるとよくよく飼い主様を悩ませるのが皮膚のトラブルです。
特にアレルギーを持っているコは、寒いうちはよかったのに、暖かくなってきたらものすごくかゆがるんです・・・という相談が多くなってきます。
病院から出される皮膚病用の療法食も春になると増えるので、シーズン到来の前に、もう一度皮膚病用のフードについて、整理をしていきたいと思います。
「かかりつけの獣医さんからフードを渡されて、言われたとおりに食べさせているんだけど、全然よくならないんだよね!」という方は、そのフードがどういうコンセプトのもとに作られているのかを理解しておくと、フードを変更するときの参考になりますよ。
大原則として、皮膚病用のフードは、アレルギーの皮膚炎の治療に使うものだと考えてください。
もちろん、アレルギー以外の病気にも使うことがありますが、これが基本です。
アレルギー性皮膚炎は、簡単に書くと次のような流れになっています。
1.アレルギーの原因物質(食べ物だったり、花粉やダニの死がいだったりします。)が体に取り込まれる。
2.アレルギーの原因物質に反応して、体が異常な免疫反応を起こす。
健康なコでは見られない物質や、ありえないほど大量の炎症物質を作り出す。
3.結果として皮膚に炎症が起こる。そしてこの流れを食べ物でどうにかしようというのが、皮膚病用のフードなのです。
皮膚病用のフードは、大きく分けて3つに分類されます。
それぞれのコンセプトにしたがって作られているわけです。
では、フードを分類していきます。
①「皮膚炎にとてもいいものが入っている」脂肪酸であったり、ビタミンやミネラルであったりしますが、栄養素を強化しているフードです。
炎症産物をあまり作らないような体質に変えていったり、あるいは皮膚炎が起こりにくい皮膚を作り上げていくのを目的としています。
しかし、炎症は病原体から守る体の反応でもあるので、炎症をゼロにすることはもちろんできません。
ですので、このコンセプトのフードを食べていてもその皮膚炎が多少改善はしても、完全に治るということはありません。
その代わりにどんな皮膚炎にも対処することができるというのがメリットです。
たとえば、スギ花粉やダニなどの環境中のアレルギー物質が原因であっても、それなりに痒みが軽減されるのです。
結果として薬を減らすなどの効果も期待できるでしょう。
ちなみに皮膚病用のサプリメントもここに分類されます。
以下に書きます②,③のフードのコンセプトは、食べ物のアレルギーのみに対処しています。
このコがもっている皮膚炎は、食べ物よりも、むしろそれ以外の原因で起こっているアレルギーなんだ・・・というときには、この①のフードが適切ということです。
②「アレルギーをもっていない食材で作られている」人間は特定の食材を食べると亡くなってしまうほどのアレルギーを持っている方がいらっしゃいます。
また亡くなってしまうことはなくとも、全身に蕁麻疹が出てしまったり、激しく嘔吐や下痢を繰り返す症状の方もいらっしゃいます。
でもその食材に触れなければ、ちゃんと生活ができるわけです。
動物ももちろん、それさえ食べなければ、普通に生活できるコがいます。
このように特定の食材に強いアレルギーを持っていて、それを食べることを回避するために特定の食材のみで作られているフードです。
皮膚病用のおやつもここに分類されます。
逆に言えば、何の食材に対してアレルギーを起こすのかがまったくわかっていなければ、ただの、あてずっぽうで与えているだけということです。
効果としては、その食材を食べなければ皮膚炎は起こらないわけですから、非常にキレがいいです。代わりに、アレルギーの原因となる食材がわかっていなければ、実は延々とアレルギーを起こさせていた・・・なんてことになります。
また、食物によるアレルギー以外の皮膚炎にはまったく効果が期待できません。
ちなみにアレルギーを起こしている食材が何であるのかは、血液検査でわかります。
1~2週間で結果が出ます。ただし、費用は数万円と、どの病院でも非常に高価です。
1つずつ食材を与えていって、アレルギー反応が出るかどうかで見極める方法もあります。
血液では調べられなかった昔ながらの方法で、費用はフード代だけですが、数ヶ月間の観察が必要です。
③「アレルギーを起こせないほどに化学的に分解している」このタイプのフードは科学の粋を集めて、物質を一番小さいレベルに分解して作ったフードです。
それさえ食べなければ・・・という目的を、食材の種類を変えていく方法ではなく、食材そのものをありえないレベルに分解して別のものにしてしまえばいいじゃないか!というコンセプトで作られています。
そのため、アレルギーとなる食材が何であろうと、このフードを使うことができます。
いくつもの食材にアレルギーを持っていて、何も選べなくて困ってしまうという方には、その懸念がなくなります。
じゃあ②よりも③のほうがいいじゃないか!優れているじゃないか!となりますが、いろいろな食材を消化し、吸収するという本来の生命活動という意味では、使えるならば、やはり②のほうが体には良いとなります。
それとこちらの③のタイプのほうがかなり割高です。
また、食物によるアレルギー以外の皮膚炎にはまったく効果が期待できません。
いかがですか?
長くなりましたが、今食べているフードがどのグループに入るのかをまずは確認しておくことです。
かかりつけの診断と治療方針がかみ合っているならば、フードの変更は同じグループに入っているフードで変えていけば良いということになります。
でも、そもそもフードを始めても、何回か変えてもまったく改善もないし、むしろ悪化する・・・なんてことであれば、そもそもの診断、あるいは治療方針が間違っているんじゃないか?他の病気が合併しているんじゃないか?という立場でもう一度、見直して診察を進めていくのです。
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- 2013/02/17(日) 12:10:32|
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